お腹の張りは、何かしらの原因でお腹にガスが溜まり過ぎることで生じるものです。
勝手な判断で放っておかず、消化器内科に相談して原因を突き止めましょう。
このページでは、原因となる疾患について説明いたします。
お腹のガスについて
お腹のガスは、以下の2つによって生じます。
口から入ってくる空気
腸内細菌から生じるガス
お腹の張り・ガス溜まりの具体的な症状について
- お腹が張り、痛みが生じる
- お腹の張りで苦しさを感じる
- 食事をするとお腹が張るため、食欲が湧かない
- お腹がグルグル鳴り、おならを出したいのに出せない …など
症状は患者様それぞれで異なります。診察の際は、ご自身が感じる症状をありのままお伝えください。また、診察では以下についても伺えますと幸いです。
- 「どんな時に症状が起こりやすいか」
- 「女性の患者様で妊娠の可能性はあるか」
- 「内服中のお薬はあるか」
- 「症状が軽くなったり、悪くなる原因はあるか」
- 「お腹の張りの他、身体で痛いところはあるか」
「お腹の張り・ガス溜まり」から想定される疾患について
お腹の張りから想定される疾患は、「お腹が大きく膨らんでいるかどうか」を基に診断します。具体的には次のような疾患があります。
お腹が膨らんでいない場合
過敏性腸症候群
ストレスなどにより腸の蠕動運動に問題が生じ、腹痛を伴う便秘や下痢などの便通異常が長引く疾患です。中でも、便秘が起こるタイプがお腹の張りの症状が現れやすいとされています。
機能性ディスペプシア
胃もたれ、胃痛、胃のむかつきなどの自覚症状があるにも関わらず、胃カメラ検査などでは明確な異常が発見されない疾患です。お腹の張りだけでなく、胸焼け、腹痛などの症状も起こります。
炎症性腸疾患
身体の中の免疫機構で何かしらの原因で異常が起こり、免疫の細胞が小腸や大腸などの消化管にダメージを与え、炎症が起こる疾患です。クローン病と潰瘍性大腸炎の2つの種類があります。下痢、腹痛、血便などの症状が起こり、いずれの疾患も若年層での発症が多いことが特徴です。
内服薬による治療が中心です。自覚症状が落ち着いても長い目線で治療を継続することが重要です。
薬物
治療を受けている疾患のお薬の副作用として、お腹の張りの症状が現れることがあります。特に、糖尿病薬や精神病薬の副作用として生じることが多いです。
お腹が大きく膨らんでいる場合
大腸がん
大腸に生じる悪性腫瘍が大腸がんです。大腸がんの進行度によって、早期がんと進行がんに大別されます。具体的には、大腸の筋層に達すると進行がんと判断します。進行がんはリンパ節や周辺臓器に転移するリスクが高いため、命に関わる事態にも繋がりかねません。
腸閉塞
腸の捻じれ、腸管内のできものや便によって便の通過に支障をきたすと、ガスや便が詰まってしまい、蓄積し、お腹の張り、腹痛、重症化すると吐き気・嘔吐などの症状が現れます。
巨大結腸症
大腸の蠕動運動を調整する神経の機能が低下することで、便の通過に支障をきたし、大腸が著しく拡大する疾患です。
心不全
心臓の機能が低下し、全身に十分な血液を届けられなくなります。そして、体内に水分が蓄積し、腹水、足のむくみ、大腸の機能低下が起こり、お腹の張りの症状が現れます。
「お腹の張り」を予防するためにすべきこと
- 適度な運動を心がけましょう。1日30分以上の早歩きが効果的です。適度な運動によって大腸が刺激され、ストレス発散も期待できます。
- 規則正しい生活を心がけましょう。早寝早起き、1日3食の食事が効果的です。規則正しい生活によって、自律神経の働きがコントロールされ、大腸の蠕動運動が活性化し、過敏性腸症候群や便秘の解消が期待できます。
- 腸内細菌のバランスをコントロールするため、整腸剤を飲んだり、ビフィズス菌や乳酸菌などが含まれる食品を摂取しましょう。これらによって腸内細菌は善玉菌の方が多くなり、腹部膨満感の解消に繋がることがあります。
「お腹の張り」の検査
当院では、鎮静剤を使用し苦痛の少ない胃カメラ、大腸カメラ検査を実施しております。経験豊富な内視鏡専門医が検査を実施しますので、一度ご相談ください。
「お腹の張り」や「ガス溜まり」でお困りの方へ
まずは原因を突き止めるために消化器内科の専門医に相談し、診察と検査を受けることをお勧めします。
お腹の張りやガス溜まりの症状が起こる疾患は多岐にわたります。勝手な判断で症状を放っておくことは厳禁で、特に食事もままならない程に症状が重い方や発熱や痛みなど他の症状も起こっている方は、速やかに当院へご相談ください。