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英国消化器病学会の過敏性腸症候群(IBS)に対する食事の推奨(食物繊維、低フォドマップ食など)

[2021.08.24]

執筆: 宮﨑 拓郎(公衆衛生学修士(栄養科学)アメリカ栄養士会所属アメリカ登録栄養士

 

こんにちは。米国登録栄養士の宮﨑です。今回は、今年の4月にBritish Society of Gastroenterology英国消化器病学会から発行された過敏性腸症候群(IBS)管理に関するガイドラインについて、食事や日常生活にかかわる部分での内容を紹介いたします。

英国消化器病学会によるIBS管理に関するガイドライン発行の背景

英国消化器病学会では2007年にIBS管理に関するガイドラインを発行していましたが、そこからIBSの病態の理解が進み、治療に関する新しい科学的エビデンスも構築されてきたことから、最新情報を反映したガイドラインの発行に至ったとのことです。

このガイドラインの特徴は、推奨内容に関して、推奨の度合いと推奨のエビデンスの質を記載している点です。

今回はガイドラインにおける食事や日常生活の推奨について概要を紹介できればと思います。具体的な推奨内容は以下となります。

First-line treatments(ファーストライン治療)内の食事・生活に関する推奨抜粋

  • すべてのIBS患者は、定期的な運動を行うよう助言を受けるべきである。(推奨度:強い、エビデンスの質:弱い)
  • 食事に関するアドバイスはすべてのIBS患者に提供されるべきである。(推奨度:強い、エビデンスの質:弱い)
  • IgG抗体に基づくFood elimination diets(除外食)はIBS患者に推奨されない。(推奨度:強い、エビデンスの質:中くらい)
  • 水溶性食物繊維(オオバコなどに含まれる)は、global symptomsと腹痛症状に効果的であるが、非水溶性食物繊維(ブランなどに含まれる)は、症状を悪化させる可能性があるので控えるべきである。水溶性食物繊維は、3-4g/日から開始し、膨満感を避けるために徐々に摂取量を増やす。(推奨度:強い、エビデンスの質:中くらい)
  • 低フォドマップ(FODMAP)食は、セカンドライン治療として、global symptomsと腹痛症状に効果的であるが、管理栄養士による監修を受けるとともに、許容されるFODMAPは再導入されるべきである。(推奨度:弱い、エビデンスの質:非常に低い)
  • グルテンフリー食は、IBSに推奨されない。(推奨度:弱い、エビデンスの質;非常に低い)
  • プロバイオティクスは、グループとして、IBSのglobal symptomsと腹痛に効果があると考えられるが、特定の菌種や株を推奨することは難しい。プロバイオティクスを試したいIBS患者に対しては、12週間使い続け、もし症状の改善が見られない場合は中断するように勧めるのは合理的である。(推奨度:弱い、エビデンスの質;非常に低い)
  • ペパーミントオイルは、IBSのglobal symptomsと腹痛の改善に効果的である。逆流性食道炎が共通してみられる副作用である。(推奨度:低い、エビデンスの質:非常に低い)

まとめ

ガイドラインはこれまで行われてきた研究をベースに専門家が推奨をまとめた指針であり、医療従事者が治療を選択するうえで参考になるものです。

食事に関してはエビデンスレベルが十分でないものの、推奨されているものも多く、管理栄養士が患者のカウンセリングを行う上での推奨のベースとなっています。

今後、一つ一つの推奨の中身についても少しずつ紹介していきたいと思います。

 

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参考文献

DH Vasant, et al. British Society of Gastroenterology guidelines on the management of irritable bowel syndrome. Gut. 2021 Jul;70(7):1214-1240.

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