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過敏性腸症候群(IBS)のサブタイプ(下痢型/便秘型など)や重症度によってNG食品は異なるの?(2021.09.28更新)

執筆: 宮﨑 拓郎(公衆衛生学修士(栄養科学)、アメリカ栄養士会所属アメリカ登録栄養士)

 

米国登録栄養士の宮﨑です。今回は2021年9月に公表された過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome: IBS)のNG食品(Dietary Trigger)に関する研究を紹介します。

IBSでは食事による腹痛や下痢などの消化器症状に悩まされている患者さんが多くいるかと思います。

この消化器症状につながるNG食については様々な研究が行われ、近年では低フォドマップ(FODMAP)食が特に注目を集めています。

一方で、このNG食についてはFODMAPなど一定の規則性があることや、患者さん個々人によって反応が異なることはわかっているものの、IBSのタイプや重症度やIBSに影響を与える要因との関係が十分には解明されていませんでした。

研究の概要

この研究では、IBSのサブタイプ(下痢型、便秘型、混合型、分類不能型)、IBSの重症度、精神的な要因(うつ症状や不安の強さなど)と、患者が報告するNG食品(Dietary Trigger)との関係性を確認しました。

具体的にはオランダのIBS患者さん1601名を対象としてオンライン調査(Cross Sectional Survey)を実施しています。

IBS患者さんのNG食とその反応に関する分析

NG食品として最も多く名前があがったのは、油っぽい食事、たまねぎ、きゃべつ、スパイシーな食事、揚げ物でした(55%~65%)。

しかしながら、このNG食品に対する反応は、IBSのサブタイプや重症度ごとで大きな違いは見られませんでした。

他方、食事に対する消化器症状は、より重症度が高いIBS患者さんの中でうつ状態が強い方、不安が強い方、QOLが低い方でNG食品に対する症状が強いことが示されました。

終わりに

このIBS患者さんに対する大規模な調査では、IBSのサブタイプや重症度によるNG食品の違いや傾向は確認されませんでした。

またIBSの重症度が高くうつ症状や不安が大きい患者の方がより強い食事に対する消化器症状を有していることがわかりました。

IBSのサブタイプや重症度別のNG食品の傾向は見られなかったことから、現時点でIBSでは患者さんの食事については、IBSのタイプや重症度にかかわらず、患者さん一人一人が自分に合った最適な食事を模索することが重要となりそうです。

またIBSの重症度が高い方では、精神面でのケアが有益となる可能性があります。

将来的には、著者も述べているように、どのようなIBS患者さんに対しどのような食事療法の効果が期待できるのかといった新しいIBS患者さんと食事の分類の研究が期待されます。

このような分類ができると、より多くのIBS患者さんが食事療法を日々の生活に取り入れることができるようになるのではと思います。また興味深い研究があれば随時このブログで共有できればと思います。

参考文献

I Rijnaarts, et al. Subtypes and Severity of Irritable Bowel Syndrome Are Not Related to Patients' Self-Reported Dietary Triggers: Results From an Online Survey in Dutch Adults. J Acad Nutri Diet2021 Sep;121(9):1750-1762.e8.

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